歯が根元から抜けた!応急処置&歯科医院での治療法と放置するリスク
ケガや転倒により、歯が根元から抜けてしまうことがあります。
この場合、適切な対処を行うことで元の状態に戻せる可能性が高いです。
この記事では、歯が根元から抜けたときの対処法について詳しく解説します。
歯が根元から抜けたときの治療法や歯が抜けたまま放置するリスクなどもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
歯が根元から抜けたときは急ぎで歯科医院を受診しよう
歯が根元から抜けてしまったら、急いで歯科医院を受診しましょう。
その理由は以下の2つです。
- ケガが原因の場合は再生できる可能性がある
- 歯周病が原因の場合は再生は難しい
ここでは上記2つの理由についてそれぞれ解説します。
ケガが原因の場合は再生できる可能性がある
ケガによって歯が根元から抜けてしまった場合は再生できる可能性があります。
抜けた歯根の表面には『歯根膜』という膜があり、これを乾燥させないことが重要です。
歯根膜が乾燥していなければ、歯根膜と歯槽骨を結合する再植治療により元通りになる可能性があります。
およそ1か月程度で、元通りの状態になります。
歯周病が原因の場合は再生は難しい
歯周病が原因で抜けてしまった場合、残念ながら再生は難しいです。
インプラント、ブリッジ、入れ歯などで治療を行うことになります。
歯が根元から抜けたときの応急処置
歯が根元から抜けたときの応急処置では、以下の4つのポイントを押さえましょう。
- 歯冠部分を持つ
- 抜けた歯を元の穴に差し込んでおく
- 差し込めない場合は牛乳か生理食塩水にひたす
- 可能な限り急ぎで歯科医院を受診する
ここでは上記4つのポイントについてそれぞれ解説します。
歯冠部分を持つ
根元から抜けた歯を拾う際は、歯根部分でなく歯冠部分(歯の見えている部分)を持つようにしましょう。
抜け落ちた歯の歯根表面にある歯根膜はとても繊細な組織のため、歯根部分を持つとダメージを与えてしまう恐れがあります。
歯根膜になるべくダメージを与えないように注意して扱いましょう。
抜けた歯を元の穴に差し込んでおく
抜けた歯を流水で20秒ほど軽くすすぎ、元の穴に差し込んでおきましょう。
流水ですすぐことで汚れや歯垢を取り除きます。
元の穴に差し込む際は、抜けた穴の周りの歯肉を傷つけないように注意してください。
歯の根が骨の中にしっかりと入るよう、ちょうどよい力加減で差し込むのがポイントです。
歯を差し込んだ後は、ガーゼやティッシュで軽く押さえて固定します。
差し込めない場合は牛乳か生理食塩水にひたす
抜けた歯を元の穴に差し込めない場合は、牛乳か生理食塩水にひたして保存しておきましょう。
学校で抜けてしまった場合は、保健室に常備してある『歯科用保存液』を使用するのも良いです。
歯を保管する際にやってはいけないことは、ティッシュにくるんだりそのままの状態で容器に入れて歯を乾燥させてしまうことです。
こうすると歯の再生の要となる歯根膜が乾燥してしまい、元の状態に戻すのが難しくなります。
また歯根膜は乾燥させないことが重要ですが、水道水やミネラルウォーターを保存液として使用するのはやめましょう。
浸透圧によって歯根膜組織が変性してしまい、治療に使用できなくなる恐れがあります。
可能な限り急ぎで歯科医院を受診する
歯が根元から抜けてしまったら、可能な限り急ぎで歯科医院を受診しましょう。
30分以内に再植治療を行うことにより、元に戻る可能性があります。
根元が折れてしまっていたり歯周病が原因で抜けた場合は再生が難しいですが、ケガなどにより歯が抜けてしまった場合は再生可能なため、急いで歯科医院を受診してください。
すぐに受診できないときの対処法
すぐに歯科医院を受診できないときの対処法は以下の2つです。
- 止血する
- 口の中を清潔な状態に保つ
ここでは上記2つの対処法についてそれぞれ解説します。
止血する
ケガにより歯が抜けてしまった場合は出血しているため、まずは止血しましょう。
清潔なガーゼを出血している部分に当てて噛むと、数分程度で止まることが多いです。
また綺麗なガーゼが手元にない場合は、ティッシュペーパーを重ねて代用することもできます。
口の中を清潔な状態に保つ
出血がおさまったら水かぬるま湯で口をゆすぎ、口の中を清潔な状態に保ちます。
歯ブラシで歯が抜けた部分を磨いたり、綿棒や爪楊枝などで抜けた部分の穴を触ったり、手で触ったりするのはやめましょう。
これらの行動によって患部に細菌が付着する恐れがあり、感染症や骨髄炎などの症状を引き起こす原因になります。
歯が根元から抜けたときに歯科医院で行う治療法
歯が根元から抜けたときに歯科医院で行う治療法は4つあります。
- 再植治療
- インプラント
- ブリッジ
- 入れ歯
ここでは上記4つの治療法についてそれぞれ詳しく解説します。
再植治療
再植治療は、抜けた歯を元の状態に戻す治療方法です。
治療の成功率は歯が抜けてからの時間と歯の状態によって左右され、歯が抜けてから30分以内であれば成功する可能性が高いです。
30分以上経過すると歯根膜が乾燥し始め、1時間以上経過した場合は成功率がかなり低くなってしまいます。
また歯の根が折れていたり骨が損傷している場合は、再植治療が難しい可能性が高いです。
再植治療の治療期間は1〜3か月程度で、ケガにより歯が抜けた場合の治療は保険が適用されます。
インプラント
インプラントは再植治療ができない場合の選択肢の一つで、人工歯根を埋め込み、その上に被せ物を装着する治療方法です。
インプラントには以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
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インプラントは歯根の代わりとなる人工歯根を埋め込むため、自分の歯と同じような間隔でしっかり噛めるようになるメリットがあります。
さらに他の歯に与える影響がほとんどないのも魅力的なポイントといえるでしょう。
しかし外科的手術が必要だったり治療期間が長期に渡ったりと、デメリットもいくつかあります。
インプラントは保険が適用されないため、治療費を抑えたい方は慎重に検討する必要があります。
ブリッジ
ブリッジも再植治療ができない場合の選択肢の一つで、両隣の歯を支えにして人工歯を装着する治療方法です。
ブリッジには『3本ブリッジ』『2本ブリッジ』『1本ブリッジ』の3種類があり、支える歯の種類によって治療方法が若干異なります。
ブリッジのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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ブリッジは両隣の歯を削る必要があるため、健康的な歯の寿命を縮めてしまう恐れがあります。
また歯科医院で定期的にクリーニングを受ける必要がある点もデメリットといえます。
しかしブリッジは基本的に保険適用の治療のため、費用を抑えることが可能です。
治療費を抑えたい方や短期間で治療したい方におすすめの治療方法といえます。
入れ歯
入れ歯もブリッジとインプラントと同様、再植治療ができない場合の選択肢の一つで、失った歯を補う人工歯です。
部分入れ歯と総入れ歯の2種類があり、抜けた歯が1〜2本など部分的であれば部分入れ歯を適用します。
入れ歯のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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入れ歯はブリッジやインプラントと比べると、見た目があまりよくなく、違和感が生じやすい治療方法です。
自費で作る入れ歯であれば審美的な問題や違和感を解決できますが、保険が適用される入れ歯の場合は上記のようなデメリットがあることを理解しておきましょう。
また入れ歯は治療費が安く適用範囲が広いのが大きな特徴です。
多くの歯科医院で対応している治療方法のため、歯科医院選びにも困りにくいでしょう。
歯が抜けたまま放置するリスク
歯が抜けたまま放置するリスクは以下の5つです。
- 見た目がコンプレックスになってしまう可能性がある
- 歯並びや噛み合わせが悪くなる
- 見た目の老化につながる
- 認知症リスクが高まる
- 顎の痛み・頭痛・肩こりの原因になる
ここでは上記5つのリスクについてそれぞれ解説します。
見た目がコンプレックスになってしまう可能性がある
歯が抜けた状態は見た目の印象に大きな影響を与えます。
周囲の目を気にするあまり自己評価が低下し、結果としてコンプレックスを抱える可能性があるでしょう。
特に人前に出る場面が多い人や接客業に従事する人にとっては深刻な問題となり得ます。
このような状況が続くと心理的なストレスが増し、社交不安障害やうつ症状を引き起こすリスクも出てきます。
歯並びや噛み合わせが悪くなる
歯が一本抜けただけでもその周囲の歯が移動してしまうことがあります。
これは隙間を埋めようとする自然の力の作用によるものです。
その結果、歯並びが悪くなるだけでなく、噛み合わせのバランスも崩れてしまいます。
噛み合わせが悪くなると咀嚼がしにくくなり、消化器官に負担がかかるため、胃腸の健康問題を引き起こす恐れもあります。
見た目の老化につながる
歯が抜けると顔の骨格や筋肉にも変化が生じ、結果的に見た目が老けて見えることがあります。
前歯が抜けた場合には唇の周りの筋肉が支えを失い、口角が下がりやすくなってしまう場合があるのです。
さらに頬のたるみを引き起こし、シワが増えることにもつながります。
適切な処置を行わない限り、見た目の老化は進行しやすくなります。
認知症リスクが高まる
歯が抜けたままの状態を放置すると、食べ物をしっかりと噛むことが難しくなります。
十分に噛まないことで脳への刺激が少なくなり、これが認知機能の低下につながるとされています。
このため口の健康が全身の健康、さらに脳の健康にまで直接影響を及ぼす恐れがあるのです。
顎の痛み・頭痛・肩こりの原因になる
歯が抜けたまま咀嚼を続けると、周囲の歯や顎への負担が増えることになります。
このため顎関節に異常が生じ、顎の痛みや頭痛を引き起こすことがあります。
また顎の不調が肩の筋肉にまで影響を及ぼし、肩こりの原因になることもあるため注意が必要です。
これらの症状が長期間続くと、生活の質が著しく低下する恐れがあります。
まとめ
歯が根元から抜けてしまった場合、抜けた歯を元の穴に差し込み、可能な限り急ぎで歯科医院を受診しましょう。
歯が抜けてから30分以内に歯科医院で再植治療ができれば、元の状態に戻すことが可能です。
すぐに歯科医院を受診できない場合は、止血して口内を清潔な状態に保ちましょう。
抜けた歯を放置しておくと見た目がコンプレックスになったり歯並びや噛み合わせが悪くなったりする恐れがあるため、なるべく早めに歯科医院を受診して適切な治療を受けるようにしてください。
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