「入れ歯を作ったはいいが、痛い」
「何回も先生に痛いというのは申し訳ない」
そんなお話をよく伺います。
「他の歯医者さんで作った入れ歯でも調整OK!何回でもOK!」と言い切る、ラビット歯科の吉田院長に直接お話を伺いました。
目次
1.他院の調整もOKってホント?!
-もしかして、入れ歯の「調整」は歯医者さんにとって面倒くさいのでしょうか?
そういう医院さんもあるかもしれませんね(笑)
実際患者さんからは「少し削っただけで後は『慣れてください!』しか言われた事がない。」なんて話もよく聞きます。
でも、吉田は入れ歯治療が大好きだから「調整はウェルカム!」なんです。
実際、入れ歯治療は「リハビリテーション」なので、確かにある程度の「慣れ」は必要です。
ただ、繊細な入れ歯のためのお口の中の調整には「患者さんからの詳しい情報の聞き出し」と「精密な調整の技術」も必要なんです。
歯科医院によっては面倒がられる調整ですが、「入れ歯バカ」を目指す吉田にとっては大好物なので、気兼ねなく相談してくださいね。
-他の歯医者さんで作った入れ歯でもいいんですか ?
もちろん!うちは全然OKですよ。
例えば、スタッフが患者さんからよく聞くそうですが、目の前の先生が作ってくれた入れ歯に対して「痛い」とは言いづらいですよね・・・
いい人ほどそういうのは言いづらいと思います。
-確かに仕事にイチャモン付けているようなものですものね。
痛いところを教えてくれないと歯科医師としては調整が出来ないし、痛いところをずっとほったらかしにしてると、そのツケがたまってひどいことになっちゃうんです。
-そうなんですか!?
例えば「右が何となく痛いなあ」と思っていて、左ばっかりで噛んでいると「片噛み」が進んでバランスが悪くなるんですよ。
-片噛み・・・。
噛み合わせのバランスが崩れたままの状態が長いと、今度は元に戻すのが難しくなってくるんです。
-へえ・・・そんなこと知らないですよね。
ずっと変な噛み方のままでいると・・・怖い話になりますが、顎関節(がくかんせつ)への影響が強く出てきます。
顎の運動に変な癖がついてしまうんです。癖は治すのが大変ですよね。
また、部分的に噛む力が集中すると、一部の粘膜に強い力がかかりすぎて入れ歯を支える骨がすり減ってきたり、部分入れ歯の引っかかっている歯に対して変な力が掛かってしまうことで、支えてくれている歯をダメにするキッカケになってしまう事もあります。
なので何でも率直に言ってもらいたいんです・・・。
「何かをする時だけ痛い」とか「何かを食べると外れる」など、具体的に話していただけると助かります。
「本来自分が持っている自然な噛み方を再現する事」が入れ歯治療の目的なので、細かいことこそが大事なのです。
-「調整=申し訳ない」と思わなくていいということですね?
もちろんです(笑)!
他院さんが治せなかった症状を、自分が治せたらと思うと「入れ歯バカ」としてはやる気が出てきますね!
ちなみに、ラビット歯科の歯科技工士さんは院長以上の「入れ歯バカ」です(笑)。
だからウェルカムなんですよ。
-昔「空手バカ一代」って漫画ありましたよね・・・。それはさておき、調整の回数や期間の目安はありますか?
患者さんの状態にもよりますが、新しい入れ歯だったら当初は1、2週間毎、ある程度慣れたら1ヶ月毎、慣れてきたとしても3ヶ月毎に調整が理想ですね。
入れ歯は基本プラスチックと金属で出来ているんですよ。
新しい靴も3ヶ月使うとカカトの部分とかは削れるし、生地も伸びてきますよね?
入れ歯も靴と同じで、入れ歯の歯は確実に削れてくるし、金属も変形してきます。
その僅かな偏りを早めに治すことが、入れ歯を「長く」「安心」して使っていける秘訣になります。
-保険も自費もそうなのですか?
今は様々な症状や希望に合わせた入れ歯がありますが、基本的には同じです。
ただ、自費の義歯(ぎし:入れ歯の事)は、保険の義歯では使えない材料で作られているので、より長く、安定して使用する事ができます。
例えば、保険の入れ歯は汚れやすいため、劣化がどんどん進んでいきます。
今は保険適応になっていない材料が多く、汚れがほとんどつかないので衛生的に長く使えるものもあります。
-入れ歯の治療をする時に、吉田先生のこだわりはありますか?
私は「噛み合わせ」を意識して作っていますね。
意外と驚かれることですが、治療や調整の仕方は先生それぞれで異なります。
なんの治療でもそうなんですが、出身大学や得意なこと、使う道具や好みなんかもあるので、まさに千差万別なんです。
入れ歯に使う人工の歯でも、陶材で出来た、ほとんど削れない堅い材料で作る先生がいます。
噛み合わせを作成中にガッチリ決めて、その噛み合わせのまま歯が削れない長く支える入れ歯を目指してます。
逆に私は、そこそこ硬くても自然と削れてくれる歯を使います。
作成中は、その方の顔立ちや使っていた古い入れ歯を参考に作成することで、最初から噛み合わせを馴染みやすくしています。
患者さんが使い慣れて行く中で患者さんそれぞれが持つ食べ方に合わせて調整していき、さらに細かい微調整は、生活の中でどんどん良くなっていく事を目指してます。
いずれはすり減って修理が必要ですが、入れ歯も靴と同じでずっと使える物ではありません。 早い方だと1年くらいで作り替えています。
-入れ歯の人でも何年も使っている人がいますよね?大丈夫なんですか?
大丈夫ではありません。 その間にも入れ歯を支えている歯茎のドテはどんどんすり減っています。
歯茎のドテは非常にゆっくりと減っていくので「なんか噛みづらいな?」くらいで痛みはありません。
また、入れ歯を支える歯茎のドテが無くなれば、部分入れ歯の方だと、入れ歯を引っ掛けている歯の負担が大きくなっていきます。 歯の負担が大きすぎれば揺れてきたり、痛みが出てきます。
痛くなければ歯医者にいく必要も無いと勘違いしてしまっている方がたくさんいます。
本人や周りの方が、噛めなくなっている事に気付くか、入れ歯が全く合わなくなって痛みが出始めた、部分入れ歯を引っ掛けている歯がぐらぐらしてきたなどの理由で、やっと歯医者に相談に来る方がほとんどです。
今は「食べやすい物」や「柔らかい物」が溢れているので、エネルギーを摂ることは難しくありません。
ただ、「なんでも食べられる方」は意外と少ないのです。
噛み合わせは特に注意しないとならない。
大丈夫だと思っていても、検査したら噛み合わせがズレていることがほとんどです。
それを見つけていかないといけないんです。
2.気になる調整のお値段は?(保険も自費も)
―入れ歯の調整は、保険の点数が低いのでやりたがらないという話を聞いたことがあるのですが、そうなのですか?
確かに保険の入れ歯調整料は低いですね。(笑)
ただ、先ほどもお話ししたとおり、
入れ歯の治療が好きだし自信があるから気になりません。
そしてうるさいくらい説明します。
自分の状態を理解してもらえないと、また同じ間違えを繰り返してしまうからです。
例えば、1カ月前から急に入れ歯が痛み始めたと。
でもそれって入れ歯が突然変化した訳ではないんです。
また、入れ歯は物なので、転んでヒザを擦りむいたキズが治るように、入れ歯が「治った」ワケではありません。
入れ歯だけでなく何の治療でもそうですが、私は「こういう理由でこうなった、だからこういう風に治しましょう、今後こういう風にしないようにしましょう」と必ず説明します。
-他で作った入れ歯の調整もOKですか?
細かい話ですが、保険外義歯の調整は保険適応外なんです。
他院の入れ歯は保険か保険外かは判別しづらいところはありますが、出来る限り保険で調整できるようにします。
-調整に行っていくら取られるか分からない・・・相談に行きました、お会計時に「え?!こんな値段!?」となるのが怖いんです。最初のステップとして「調整の概算」が分かればありがたいのですが・・・。
・・・では、保険外で作った入れ歯は3000円プラス消費税と明記します!
-いいんですか?先生?!
はい、いいんです! 他院で作った保険外義歯については、3000円プラス消費税。 ※修理は別途費用が掛かります。また状態によります。
-明朗会計ですね!保険の入れ歯は?
保険の入れ歯は保険で調整します、500円プラス初診料とかくらいです。
他の医院さんも保険の入れ歯でも、同じです。
-これ、自分が患者だと聞けないんですよ、インタビュアーだから聞けるんです。ずいぶんスッキリしました。
3.院内に技工士さんがいるんです
歯科技工士 鈴木 俊男 インタビュー
-院内に技工士さんがいるのは、強みですか?
「歯医者さん(歯科医師)しかいないより、技工室があって技工士さんがいつでもいるから、安心して来れるわ」という患者さんはよく見かけます。 「いつも技工士さんがいる」という理由で、遠くからわざわざ来られる患者さんもよく見られます。
-調整に来た場合、技工士さんが担当するんですか?
鈴木さん(技工士さん)に調整や修理を頼むこともあります。
ドクターが診察台の脇で調整するよりも、技工士さんに預けた方が確実にキレイに仕上がってくるというケースはあります。
-調整って、当日できるんですか?
預かる場合もありますが、なるべく預からないように工夫します。
預かっちゃうと食べられないじゃないですか。
―確かに。
「こういう風に治しましょう」と診断を下すのはあくまで歯科医師ですけれど、入れ歯を治すという事に対して経験を持った技工士さんが、専門の道具と機材を使って直してくれるのは強みと言えると思いますね。
-技工士さんは立ち会うのですか?
立ち会う事も出来ます。
技工士さんがいない歯医者さんに比べて、広い範囲の修理や調整を精度高く行うことが出来るとは確実に言えます。
-実際に話すのは先生?
もちろんそうです。-技工士さんと患者さんとでは、あまり話は出来ない?
あんまりないけど、ない訳ではないです。
見た目のところとか、形のところとか、話すことが出来ます。
通常、技工士さんは模型上でしか患者さんの事を知り得ないんです。
例えば、前歯を治すときは、唇の形、出っ張り具合ってものすごく気にするんです、技工士さんは。
あと、「顔の形」で「歯の形」が決まってくるんです。
-へー!
簡単に言うと、丸顔の人に四角い歯を入れると、すごい違和感なんです。
-四角い顔の人には四角い歯なのですね、比例してるんですね。
実はそういうのが本当にあるんです。
それは教科書にも書かれているんです。
-そうだったら、技工士さんがいるところで、特に前歯なら絶対に作りたいと思っちゃいますね。調整ではないですが、前歯に関しては、もし今度入れ歯を作る時は技工士さんがいるほうがいいですよね。
経験豊富な技工士さんがいて、会わなきゃ分らないことがあるという事を知れば「じゃあ次作る時はお願いしよう」となりますよね。
院外技工の場合、技工士さんとの連絡を取る時は「技工指示書」といって紙に書いた文章でのやりとりしかできないんですよ、基本的には。
-ちなみに指示書に顔写真とか付けないんですか?
保険の診療ではまず付けないですよね。
「歯型の石膏」と「指示書」をセットで、院外の技工所に渡す医院さんは多いです。
院内で作っている技工士さんがチェアサイド(診察台の脇)まで実際に来てくれると、情報の共有が密になりますし、情報量は圧倒的に段違いです。
技工士さんも分からないことあれば、私に聞いてきてくれるし、技工士さんとしても実はやりやすいんですよね。
-ちなみに、ラビット歯科で作る技工物は、他に出すことはないのですか?
ほぼないです。 ただ金属を使い鋳造(ちゅうぞう)するものに関しては、部分的に外注に出します。
-患者さんからすれば、技工士さんがそばにいるのが一番いい、困った時に相談に乗ってもらえる。
値段が分かる、私が調整ウェルカムなので安心していただける、院内に歯科技工士さんがいる、3拍子揃えてみました!(笑)
あ、他院の入れ歯もOKなので、4拍子ですかね。
4.なんでそんなソンなことをするの?
-でも、先生、あまり儲からないのに、主婦としては「そんなうまい話あるわけないじゃん」とも思うんですけど。
ラビット歯科は、入れ歯で悩んでいる人とずっと接してきました。
そもそも入れ歯の調整するのが得意だし、自信があるし。
さらに、技工士さんが院内にいるので、吉田としても自信をもって預かれます。
初診の患者さん的には、入れ歯の調整で先生と気が合うかどうか?のいい判断の機会になるとも思います。
-なるほど。先生と技工士さんとの二人三脚なところが主婦としては魅力です。
はい、環境面も整っているから、ラビット歯科としては難しいことではないんです。
なので、利益面も大丈夫ですし、そもそも調整が好きなんです。
実は、昔は入れ歯の調整はそんなに好きじゃなかったんですよ、積極的に受け入れようとは思ってなかったです。
そんな中で「入れ歯の神様」と呼ばれる村岡秀明先生(https://muraoka-dentalclinic.com/menu/denture/)と出会って。
5.入れ歯の神様、降臨!
―「トイレの神様」は聞いたことありますけど(笑)。
(笑)その先生とお知り合いになって・・・ためしてガッテン!に出ている先生なんですよ。
直接ラビット歯科に来てもらったり、指導してもらったり、勉強会に出たりして。
最初は紹介だったんです、まさか来てくれると思わなかったんです。
その先生に相談していたときに私、褒めてもらったんですね。
それが単純に嬉しくて自信になっています。
むしろ調整は「したい」です、直したい、です。
それが根本じゃないかな?と思います。
来てください、見せてください、と。
-どう頑張っても歯医者さんは垣根が高いのに、先生みたいに自分をさらけ出してくれる先生ってなかなかいません。番付もって映ってる写真を前面に出していますしね。あれはおじいちゃんおばあちゃんの心をわしづかみだと思います。
ありがとうございます。
まあ、それはさておき、本当に降臨したんです、入れ歯の神様が。
―痛みって、気持ちと増幅幅が同期しますよね。
不安だと痛みを感じやすいけど、大船に乗ったつもりなら痛みの感じ方も違ってくる、感じづらくなる・・・疑心暗鬼でなくなることはすごく大事なことだと思います。
「入れ歯の神様とタッグ組んでます」と聞くだけでも安心かなと思います。
思いっきり抱き合っている写真もありますからね。(笑)
-普通の予約枠でいいんですか?
いいです。
まず予約を取って見せていただければと思います。
-入れ歯の方って控えめで遠慮がちな方が多いんです。説得力がいっぱいありました。
褒めてもらって嬉しいし、任せてほしいって気になりました。 「好き」なんです、調整。
―そこまで言ってもらえたら、「じゃあ行ってみよう」という気になります。
痛いことに慣れないでほしい、我慢しなくていい、と言いたいです。
あれこれ考えないで、おいしくご飯が食べれることが一番大事なことなので出来るようにしましょう!
実は、患者さんに対してのホスピタリティでいうと、技工士さんの方があります。
技工士の鈴木俊夫さんは、ホスピタリティの塊みたいな人なんで。
-技工士さんの鈴木さんは、先生からみるとどんな人ですか?
優しい海老蔵ですね。
-(笑)私にはトータス松本に見えますが。
確かに!(笑)
技工士さんって、毎日がものすごく忙しいんですよ。
そもそも忙しいのに、「患者さんが困っている」って聞くと私以上に「僕、これ出来ますから、直しますから、貸してください」と言うんですよ。
彼は、10年間自費専門の技工所にカンヅメになっていたのです。
なので「無理だろう」と思うものも、彼は底知れないノウハウを持っていて、私が諦めかけたときに「これ、こういう風にするといいんじゃないですか?」と提案してきてくれるんです。
-引き出しがいっぱいある?
すごいすごい。 「イヤ無理でしょう?」ってのも、渡すと直って帰ってくるんですよ、たまに。 やってくれちゃうんですね。
-熱い人ですね。そういえば鈴木さん、矯正をご自身でもやってますよね。
同じくスタッフの益子さんのブログも面白い。
矯正も入れ歯も五里霧中です。入れ歯の調整ドキュメントもあったらいいのに。
食べられないって大変な事です。
自分のためにも家族のためにも「食べられるお口」をキープしましょう。
そういう事に気が付いてほしいし、食べられないリスクを知ってほしい。
-先生のブログのファンもいらっしゃるのでは?
いるんですよ、結構なおじいちゃんも見てくださっています。
これからも頑張りますんでどうぞよろしくお願いいたします!
インタビュー2022/1/11